横山FIRST活動サマリ
11/68

11そして、企業から参加している研究員は全員産総研の研究員として出向することも特徴である。中心研究者の横山氏も連携研究体長として、産総研GNCの責任者を務めた(図1)。 「企業の研究員を産総研で受け入れたことは、産総研としても初めての試みでした。研究員が成果を学会発表する時も産総研の肩書きで発表します。その結果、従来のような企業間の壁や企業と産総研との垣根がなくなり、研究者同士の連帯感が生まれました。また、お互いの研究内容や研究方法について熱心に学ぶ姿が見られました。よい刺激を与え合うことで、よい成果につながるという好循環が生まれたのです」と岩田審議役は説明する。 GNCでは、多くの世界最高値や世界初の研究成果が生まれたが、産総研の中に企業の研究員が入り込む研究体制が成果を後押ししたことは間違いない。さらに岩田審議役は「横山連携研究体長が中心研究者として柔軟な組織変更を実施したことも、成果が上がった要因ではないでしょうか。研究の進ちょく状況に合わせて研究テーマを変更したり、研究グループ間での研究員の異動も実施しました。研究員は産総研の職員ですから、出身元に関係なく人事が実施できました」と産総研に研究員を集結させたメリットを語る。 産総研は、支援機関として特許の出願や管理も担った。横山FIRSTで得られた知的財産は産総研が所有して、参画企業がライセンスを希望する場合には、原則としてそれを拒まない制度をつくった。「制度化には時間がかかりましたが、特定の企業に知財を集中させず平等に扱ったことで、ここでも企業間の壁を取り払うことに寄与しました」と岩田審議役は語る。産総研独自のプログラムを創設しデータセンタの節電を目指す 横山FIRSTが終了する2014年3月末にGNCは解散する。基本的に、GNCに所属している研究員は出身元に帰ることになる。ただし「GNCで取り組んだ研究成果やノウハウは産総研に残ります。その成果を生かして、産総研でナノエレクトロニクスの研究を続けていきます」と金山理事は語る。 すでに産総研内のFIRSTと位置づけている「STARプログラム」を開始。医療・創薬分野のテーマと共に情報エレクトロニクス・ナノテク分野のテーマとして「超低パワー大規模データ処理イニシアチブ(IMPULSE)」に取り組んでいる。 「特に専門の組織をつくらない、産総研内のバーチャルな組織で、外部の組織と連携しながら取り組んでいきます。GNCの成果である低消費電力トランジスタ、相変化メモリなどに加えて、スピントロニクス、シリコンフォトニクスなどの技術、それに光ネットワークやコンピュータ・アーキテクチャなど情報通信分野の革新的技術も合わせて、2030年のデータセンタの電力効率を1桁向上する技術を見極めます」と金山理事は語る。スーパークリーンルームがあるつくばに拠点を構えたのは必然 産総研が横山FIRSTを実施する拠点としてGNCを設置したもう一つの理由に、SCRを多くの人たちに活用してもらうナノエレクトロニクス研究に関する「オープンイノベーションハブ」構想を産総研が持っていた背景がある。 SCRは、産総研のナノエレコンソーシアムに参加する企業の会費や、SCRを使う研究開発プロジェクトの資金で運営しているが「以前は、使う企業や組織は限られていた」(金山理事)。SCRを使うメンバーをもっとオープンにして、多くの人たちに使ってもらうことを産総研は2009年ごろに構想していた。 同じ時期の2009年3月には、日本の産業力強化のために政府に対して政策提言する産業競争力懇談会(COCN)が「環境調和型ユビキタス社会を実現するナノエレクトロニクス」をテーマに、ナノエレクトロニクス研究拠点を設備や人材、技術が集約しているつくばに設置することを提案した。 つくばには、産総研のほかに、物質・写真1 産業技術総合研究所のスーパークリーンルーム産学官連携研究棟(SCR)の内部写真2 産業技術総合研究所の金山敏彦理事写真3 産業技術総合研究所つくばイノベーションアリーナ推進本部の岩田普審議役(横山FIRST研究支援統括)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です