横山FIRST活動サマリ
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12材料研究機構(NIMS)がナノテクノロジー関連の研究をしている。「さらに筑波大学では産総研やNIMSとの連携を強化したいという意向がありました」(金山理事)。 このような環境の中、COCN作業部会が実施計画を立案し、産総研、NIMS、筑波大学の3者が、世界的なナノテク研究拠点「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)」を2009年6月に設立した。2012年には高エネルギー加速器研究機構も加わり現在は4者の組織となっている。 平成20年度(2008年度)と21年度(2009年度)の補正予算で約250億円の資金を使いSCRやNIMSの設備を整備した。 2009年に採択が決まり、2010年3月から活動を始めた横山FIRSTなどFIRSTの30課題のうち5課題がSCRを使うことを表明。平成22年度(2010年度)からTIA-nanoの活動が始まった。「その後東日本大震災の影響を受け、本格的な活動が始まったのは平成23年度(2011年度)後半からです」(金山理事)。 TIA-nano運営最高会議の岸輝雄議長(写真4)は「TIA-nanoでは、日本の産業界にナノテクノロジーのイノベーションをもたらす高い国際競争力の確保と新たな産業の創出を目指しています」と述べ、既に海外に存在しているナノテク研究拠点と同様の国際的な研究拠点の形成を目指している。現在、TIA-nanoでは、ナノエレクトロニクスのほかに、パワーエレクトロニクス、カーボンナノチューブなどに関係する約30の多彩な研究プロジェクトが実施されており、130社、1000人の研究員が集結している(図2)。 その中でも横山FIRSTは特異的な存在だ。研究の本拠地をSCRに構えているからだ。「SCRをはじめ、産総研にしかない設備を使うことができて、筑波に拠点を構えたのは必然です。トランジスタの材料としてグラフェンを研究している時に、ヘリウム(He)イオンを打ち込むとバンドギャップを形成できることが世界で初めて分かりました。そのHeイオンを打ち込む装置は産総研にあったのです」と横山連携研究体長は語る。 横山FIRSTは、TIA-nanoの場で成果を上げたことで、TIA-nanoの立ち上げに貢献した。「横山FIRSTをはじめ、現在TIA-nanoで実施されているプロジェクトの多くは国家プロジェクトの予算でTIA-nanoの施設・設備、技術を活用する形で活動しています。これをTIA-nanoの第1段階と位置付けています。今後は新しい技術を開発するために、企業が自らTIA-nanoに集まる第2段階に発展させることを計画しています」と金山理事は語る。 SCRの隣には、1000㎡のクリーンルーム、研究室、セミナー室などを備えたTIA-nano連携棟が2013年3月に完成した。ここでは、サマースクールも開講され、学生も集うまさに産学官連携の場である(写真5)。 横山FIRSTは、TIA-nanoの枠組みとGNCの組織をフルに活用して、最先端の研究プロジェクトを成功させたのである。 TIA-nanoでは研究開発だけでなく、連携大学院を組織して人材育成にも力を入れていることも特徴。筑波大学、東京理科大学、芝浦工業大学の選抜された優秀な学生に、TIA-nanoで、企業の研究員からの指導を受けながら単位認定する講義や実習を実施している。学生には資金的な援助があり、海外での研修やサマースクールの参加を義務づけている。「学生は実践的な能力が身に付くとともに、企業の若手研究者は、学生への指導を通じて基礎を再学習する機会が得られるメリットがあります。将来的には、独立したTIA-nano大学院を設立することも構想しています」(金山理事)。写真4 つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)運営最高会議の岸輝雄議長写真5 TIA-nano連携棟 TIA-nanoで人材育成も実施図2  TIA-nanoで取り組んでいる分野ナノグリーンパワーエレクトロニクスナノテク共用施設カーボンナノチューブナノエレクトロニクスN-MEMSナノデバイス実証・評価ファンドリーナノ材料安全評価ナノテク大学院連携産業技術総合研究所物質・材料研究機構筑波大学高エネルギー加速器研究機構連携研究体GNCとTIA-nano

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