横山FIRST活動サマリ
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21FIRSTプログラム成果報告 ◎ 低電圧動作CMOS池田圭司氏は、ひずみゲルマニウム(Ge)ナノワイヤの開発を担当した。池田さんは、学生時代からSiGeの材料研究に携わり、2001年に富士通研究所に入社後はSiGeチャネルMOS FETの研究に従事した。2004年から半導体MIRAIプロジェクトでGeトランジスタを研究。2009年に東芝へ転職後もSiGeナノワイヤMOS FETの研究を担当した。 「当時はまだGeの組成は低く、Ge 100%としたのは今回が初めてです。ひずみを維持した状態でGe組成を高めることができれば、移動度が向上することは分かっていましたが、その手法と最適なゲート絶縁膜の開発が課題でした」 ひずみGeナノワイヤの作製では酸化濃縮法でひずみSiGeを形成後にナノワイヤ構造を作製、径方向のひずみを緩和した後に、再度酸化濃縮をする2段階酸化濃縮法を採用することでチャネル長方向のひずみの維持とGe組成を100%にすることに成功した。 「基板張り合せ技術によって、ひずみGeチャネルを形成する方法もあります。実際に競合する研究グループで採用されていますが、世界最高値の移動度を達成することで2段階酸化濃縮法がより優れていることを実証できました」 池田氏は、東芝帰任後もGeトランジスタ関連技術の研究を続け、同社半導体部門の製品への適用も検討していく考えだ。Geトランジスタの低温プロセスが可能な点を生かした開発を狙っている。池田圭司(いけだ・けいじ)産業技術総合研究所(東芝より出向)特定集中研究専門員学生時代からSiGe研究を始めたそれが実を結び世界最高値を達成若手研究者の声名古屋大学の中塚理准教授が所属するグループでは、2005年ごろからトランジスタのチャネル材料用にゲルマニウム・スズ(Ge1-XSnX)の結晶成長に関する研究を世界に先駆けて進めてきた。 「単体のGeを使うのではなく、Ge1-X SnXによるひずみ制御を用いたさらなる高移動度化に取り組んでいます」 Geよりも格子定数が大きい材料を挿入してGeにひずみを加えると電子の移動度はより高まる。そのため、Geよりも格子定数が大きいⅣ族元素のSnに注目した。 GeとSnの格子定数は14.7%異なり、通常Ge結晶中にSnは1%しか入れることができないため、目的とするGe1-XSnXの結晶成長は容易ではない。3次元トランジスタで生じるGe(110)や(111)面上の結晶成長では、150〜200℃の低温成長が高Sn組成化に有効であることを見いだした。また、微細領域のひずみ分析には高輝度放射光施設SPring-8のX線マイクロ回折法を使った。 「これまでに、ひずみGeで有効とされている1%以上の局所ひずみの導入を実証できました。今後はGe1-XSnX技術による移動度向上の実測が課題です」 研究には学生も深く関与し、結晶成長、試料作製や数値解析などを、博士課程の学生たちが中心となって担当している。「最先端を走る産総研の研究グループと共同研究することは、学生にとって博士課程に進学する強いモチベーションになっていると思います」と中塚准教授は語る。中塚 理(なかつか・おさむ)名古屋大学大学院工学研究科 准教授ゲルマニウムスズによる微細領域のひずみ制御をX線マイクロ回折法で実証委託研究者の声

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