横山FIRST活動サマリ
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25FIRSTプログラム成果報告 ◎ 低電圧動作CMOS森貴洋氏は、Si系TFETの開発を担当している。産総研に来る前の理化学研究所では、3年間トンネル現象を利用した研究、CNT(カーボンナノチューブ)などのナノ材料や量子コンピュータなど、将来の素子を研究してきた。 4年前に産総研に来た。その前は博士号を取得してから理化学研究所に赴任していた。さまざまな組織で基礎、応用の研究に携わり、幅広い経験を積んでいく。 太田グループに加わって実験はスーパークリーンルームを使う。ここまで大型の設備を使ったものは初めてであり、貴重な経験となっている。さらに太田グループを通して、企業の研究者と一緒に仕事をする機会も得られた。太田氏は基礎寄りの研究を続けてきたが、そこでの成果も最終的に企業で採用されるなどしなければ、ゴールである研究成果の社会への還元はできない。「多くの研究者は漠然とゴールが見ていないのかもしれない。自分もそうだった。一緒に研究してみて、研究をゴールに持っていくのに必要な考え方がよく見えるようになった」と言う。 さらに「まだ駆け出しの自分にとってインパクトがあったことは、企業との共同研究の機会に恵まれたこと。もし、限られた分野の中に閉じこもって、共同研究をしていなければ、最終的な応用である製品をイメージすることはできなかったでしょう」とも振り返る。企業の研究者と一緒に研究したことによって、考え方や知識が増えたのだ。森 貴洋(もり・たかひろ)産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門新材料・機能インテグレーショングループ研究を社会に還元するというゴールに持っていくために必要な考え方を得る若手研究者の声長年インジウムヒ素(InAs)やガリウムアンチモン(GaSb)の結晶成長を研究してきた物質・材料研究機構の佐久間芳樹氏は、横山直樹連携研究体長の依頼を受け、シリコン基板上に高品質のInAs結晶を成長させる技術の開発を担当した。  作製したのは、インパクトイオン化MOS(IMOS)やトンネルFET(TFET)などスティープスロープトランジスタを実現可能にする直径100nm、高さ1μmのInAsのナノワイヤーだ。 シリコンとInAsとでは格子定数が大きく異なるため、高品質のInAsをシリコン基板上に成長させるのは容易なことではない。そこで佐久間氏は、有機金属気相成長法(MOCVD)によるエピタキシャル成長技術を用いることにした。 まず、特殊な面で成長させたシリコン(Si)基板上に二酸化シリコン(SiO2)を積層させ、その上に電子ビームを使って直径100nmの穴をたくさん開ける。それにより穴の部分だけ基板のSiがむき出しになる。その状態でMOCVDを用い、穴の部分だけにInAs結晶を成長させることに成功した。 「シリコン基板上に広い領域で、直立したInAsナノワイヤーを形成することは難しかったですが、成長条件などを詳細に調整することで、比較的簡単に再現性よく形成する手法を確立できました。次世代のトランジスタの1日も早い実現に貢献できればうれしいです」佐久間芳樹(さくま・よしき)物質・材料研究機構先端的共通技術部門先端フォトニクス材料ユニット量子ナノ構造グループ新動作原理で動くトランジスタの基盤となる結晶成長技術を確立委託研究者の声

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