横山FIRST活動サマリ
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畠 賢治(はた・けんじ)産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センター首席研究員1996年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了(工学博士)。1995年日本学術振興会特別研究員、ハーバード大学科学生物学科ポストドクターを経て2003年産業技術総合研究所ナノカーボン研究センターナノカーボンチーム入所し、現職。2010年第6回日本学術振興会賞、2010年第6回日本学士院学術奨励賞。27FIRSTプログラム成果報告 ◎ ナノカーボン材料の開発と応用によると、CNTの課題は、半導体と金属が共存することだという。CNTがSi LSIを置き換える場合には、半導体の純度を上げることが不可欠であり、金属的な性質を取り除き純粋に半導体として振る舞うようなCNTをつくらなくてはならない。CNTを何本か組み合わせてネットワークとして使う場合でさえも、高い純度は必要である。ソース-ドレイン間にCNTのネットワークが存在する場合、金属的なCNTが端から端までつながっていればソース―ドレイン間はショートしてしまう。 この問題を解決するため、CNTを成長させるときの選択性を上げて半導体的なCNTだけを成長させるようにすることを考えた。これまでは遠心分離法や金属CNTをエッチングすることなどによって、半導体CNTを残していた。触媒に水分をかけて半導体的CNTを選択成長 CNTを成長させる場合、触媒金属を種結晶として使い、CNTを種の上で成長させると半導体と金属が入り交ざった状態になる。従来の合成法では、金属が1/3、半導体が2/3という割合で構成されていた。その後で、遠心分離などにより金属的CNTと半導体的CNTを分離していた。この遠心分離法では、半導体CNTにダメージを与えてしまうという問題がある。理想的には、半導体CNTだけを成長させるようにしたい。 そこで考えたのが、触媒を基板上に載せた後、そのまま触媒の状態を780℃に熱して水分をかける。その後エチレンガスを流し、CNTを成長させる方法だ(図2)。この条件だと、98%以上の半導体CNTがゆっくりと成長する。水分を入れることで触媒のFe(鉄)が半導体しか成長しない状態になるが、その詳しいメカニズムはまだ分かっていない。ここで言う水分はppm単位のわずかな量であり、それ以上入れても選択成長しない。触媒金属としては、従来はコバルト(Co)だがFeの方が適しており、しかも安価なので、Feを使っている。触媒を小さくすることで半導体的CNTの成長に寄与 上記の方法では、サイズの大きな触媒微粒子からは半導体CNTが十分に選択成長せず、金属CNTも多く成長してしまうという欠点があった。一方、サイズが1nm以下と小さな触媒微粒子からは98%程度の高い選択性で半導体CNTが成長していることが分かっていた。 CNTの直径は触媒の粒子のサイズに依存するので、小さくすることによって、選択性を上げた。Si基板を塩化鉄の水溶液に浸漬させて、乾燥させると、小さなFeの粒子ができることが分かった。塩化鉄溶液のpHや鉄イオン濃度、時間、溶媒など調整して、触媒を▶ 半導体的CNTを選択成長させ、金属的CNTの成長を抑えた▶ CNTを熱CVDで作製するときの水分とH2雰囲気の比率を最適化した▶ ゲート長5μmのFETでオンオフ比4桁のFETを作製図1 金属CNTの混在図2 半導体CNTの単離方法

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