横山FIRST活動サマリ
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低電圧動作CMOSバックエンドデバイスナノカーボン材料の開発と応用28CNTの合成とデバイス応用Synthesis and device application of CNT堆積させる方法を最適化した。粒径の分布のそろった触媒上にCNTをつくった結果、98%以上の選択性が得られた。 選択性のメカニズムはまだよく分かっていないが、桜井主任研究員は「金属と半導体では安定性に差があるが、エネルギー差がわずかなので、共に成長してしまう」と分析している。触媒の上に何も成長しないものもあり、触媒も1個ずつ違う。 半導体CNTと金属CNTは、ラマンシフトを見ることで、区別できる。ラマンシフトとは、試料にレーザー光を当てると、レーザー光よりも波長の長い光が検出され、その強度から物質を特定する手法のこと。波長532nmのレーザー光を当てると、水分を入れた資料では金属CNTのピークが消失し、半導体CNTだけのスペクトル強度が残る。 水分と水素量を細かく条件を変えてみると、成長性が違うことが分かる。水を多めに水素を少なくすると選択性が上がるが、水素を流さないと成長しない。また水分流量を上げると選択性は上がるが、成長速度は低くなる(図3)。 このようにして、98%の選択性を達成できたが、さらに選択性を上げるためにさまざまなアイデアを組み合わせていく計画がある。触媒をニッケル(Ni)と合金化したときに半導体が成長しやすい。また、合成した後で金属をつぶしていくなどさまざまな技術を組み合わせていく。ソース-ドレイン長を5μmまで小型化 デバイス作製では、FET(Field Eect Transistor)を試作している。これまでは、ソースとドレインの間に、短いCNTがマッチ棒を散らかしたようなネットワーク状に形成されていた。しかも金属的CNTと半導体的CNTが入り混じった構造になっている。ソースからドレインへ金属CNTがつながってしまうとショートするため、これまではソースとドレイン間を100μm以上離さなければならなかった。これでは微細な性能の高いトランジスタはできない。 今回、半導体CNTが98%もあり、金属CNTが少なかったためにドレイン-ソース間距離を5μmまで縮めることができた。試作したトランジスタのオン/オフ比は4×104で、ドレイン電流は0.13μA/μmであった。ただし、これ以上、この距離を短くするとオン/オフ比はとれなくなる。 これまで、他の研究機関が分離処理した半導体CNTで金属酸化膜半導体(MOS)型電界効果トランジスタ(FET)を試作した例では、最も短いチャンネル長でも20μmがやっとだった。今回のMOSトランジスタは5μmで104以上のオン/オフ比を得ており、実用的な数字に近づいた。 また、ラマンシフト分析で触媒の効果を見たところ、従来の触媒方式だと金属CNTのピークが見られたが、改良した触媒ではバックグラウンドレベルまでこのピークは下がっている。 今後の予定としては、ベストな選択性が得られた試料のTFT(Thin Film Transistor)としての特性評価を行い、チャンネル長を短くしたことによる高周波特性の測定も行う。さらに、特性を低温ポリシリコン(LTPS: Low Temperature Poly Silicon)TFTとも比較していく。「最初の応用は、フレキシブルエレクトロニクスかもしれない」(桜井主任研究員)と期待する。図3 選択成長のカギは水分と水素の導入図4 半導体CNTを選択成長できる最適化範囲

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