横山FIRST活動サマリ
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佐藤信太郎(さとう・しんたろう)産業技術総合研究所 (富士通より出向) FIRST研究分担者1990年筑波大学大学院修士課程修了。2001年米ミネソタ大学大学院博士課程修了、Ph.D.、同年富士通入社。2006年半導体先端テクノロジーズ(Selete)へ兼務出向、MIRAIプロジェクトNSIカーボン配線プログラムにおいてカーボンナノチューブ(CNT)のLSI配線ビア応用へ向けた研究開発に従事。2010年産業技術総合研究所に出向。研究分担者として、グラフェン、CNTのトランジスタ・配線応用に向けた研究開発に従事。2004年日本エアロゾル学会井伊谷賞、2011年応用物理学会優秀論文賞。31FIRSTプログラム成果報告 ◎ ナノカーボン材料の開発と応用移動度6,000cm2/Vsを達成したこと。「移動度としてはまだ向上の余地はありますが、量産用ウエハ上に均一に単層グラフェンを合成したことを示したのは世界で初めてです」と佐藤氏は成果を強調する。ラマン分析によって、ウエハ上に均一にグラフェンが合成できたことを確かめている。グラフェン層を肉眼で見ることはできないが、グラフェンを合成するためにシリコンウエハ上に堆積した銅触媒膜が酸化していないことがその証拠である。300mmシリコンウエハ上に単層グラフェンを合成 グラフェンを合成するために、特注の化学気相成長法(CVD)の装置を導入した。合成温度は1000℃で、その温度制御は300mmウエハ全面で±3℃という精密さである。また、炭素を含む原料ガスの量を精密に制御できる。 Si基板上に合成した多結晶のグラフェンのグレインサイズは、当初数μm×数μm程度であったのが、製造プロセスの最適化によって数十μm×数十μmまでに大きくすることができた。製造プロセスは、グラフェンの評価技術を開発し、それを製造プロセスにフィードバックして最適化した。具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)の暗視野像を利用することでグレインを観察でき、それによってグレインサイスを測りながら、CVDでの成長条件依存性を調べた(図2)。 さらなる移動度の向上、10,000cm2/Vs以上を目指して、九州大学の吾郷浩樹准教授の研究グループとも協力して大面積単結晶グラフェンの成長方法確立にも挑戦している。 二つ目の成果として、バンドギャップをグラフェンに導入する方法を複数開発した。グラフェンはバンドギャップがないことが特徴。したがって、トランジスタのオンオフ動作を制御するためにはグラフェンにバンドギャップを導入する必要がある。グラフェンリボンを合成してバンドギャップをつくる バンドギャップを導入する手法は、グラフェンをリボン形状にしたり、2層グラフェンに垂直方向に電場をかけたりする方法が知られている。 グラフェンをリボン形状にする方法として、銅の薄膜に出現する幅が100nm程度の細い結晶、ツインクリスタル(双晶)上にグラフェンを形成する方法を見いだした。このような手法は、エッチングなどのトップダウンの手法に比較し、スムーズなエッジが得られる利点がある。幅が数nmの細いリボンを形成することが今後の課題である。また研究委託先の物質・材料研究機構の塚越一仁氏は、2層グラフェンの上下から電界をかけて、バンドギャップ0.2eVを達成し、インバータやエサキダイオー▶ 300mmウエハ上に単層グラフェンを合成▶ グレインサイズ20〜30μm、移動度6000cm2/Vsの高品質グラフェンを合成▶ グラフェンにHeイオンを照射してエネルギーギャップを形成(世界初)▶ グラフェンナノリボンを幅を制御して合成▶ 2ゲート・グラフェン・トランジスタを作製し動作を確認▶ 多層グラフェン配線にFeCl3をインタカレーションして抵抗率1.5μΩcmを得た▶ 幅10nm以下のグラフェン微細配線を作製  同サイズの銅配線より低い抵抗値を実証(世界初)図1 グラフェンのバンド図。バンドギャップは存在しない。エネルギー状態は電子と正孔で対象である図2 高品質グラフェンの合成。多結晶グレインサイスを計測しながら、1000℃の高温プロセスを最適化し、グレインサイズを10倍にして移動素6,000cm2/Vsを達成(世界トップ)

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