横山FIRST活動サマリ
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二瓶瑞久(にへい・みずひさ)産業技術総合研究所連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター1992年東北大学大学院修士課程修了、富士通入社。2006年東北大学大学院博士課程修了。工学博士。2006年半導体先端テクノロジーズ(Selete)へ兼務出向、MIRAIプロジェクト・NSIカーボン配線プログラムにおいてCNTのLSI配線ビア応用に向けた研究開発に従事。2010年産総研に出向し、FIRST研究分担者として、CNT/グラフェンの排熱応用へ向けた研究開発に携わっている。35FIRSTプログラム成果報告 ◎ ナノカーボン材料の開発と応用LSIの放熱にナノカーボン材料を使う パッケージの蓋の素材として従来はCu(銅)を使ってきた。それをグラファイトに置き換え、TIM材料としては、従来のハンダやIn(インジウム)などのメタルをCNTに替える。また3D IC(3次元積層IC)用のシリコン貫通電極(TSV)にも放熱用のCNTを形成する。TSVはもともとチップを貫通させて表面と裏面をつなぐための貫通電極という役割を持つが、従来のメタル電極は熱も逃がしやすい。グラファイトの特性は理論的に求められており、1000W/mK以上の高い熱伝導度を持つ。 TIMとして、従来のハンダの熱伝導率は50W/mKであり、CNTを使ったときの目標をその10倍の500W/mKに設定した。SiチップとTIM、パッケージ全体の実装構造で20〜50%の熱抵抗削減を目標としている。 CNTには、面状につながったグラフェンシート結晶を丸めた単層チューブと、それを幾重にも丸めたマルチウォール構造がある。多層は金属(導体)になり、単層は金属(導体)あるいは半導体になりやすい。配線や放熱材料に使う場合には、メタリックな特性が望ましい。 TSVを放熱に使う場合には、TSVファーストプロセスを使い、最初にシリコン(Si)基板にTSVをある程度の深さまで形成した後に、裏面のSiを薄く削っていく。それをCMOS回路のLSIチップに張り合わせる。CNTの成長温度は800℃と高いため、CMOS回路を作る前に、あらかじめTSVを形成、その穴の中にCNTをつくりこんでおく。 また、CNTの機械強度(ヤング率)は、1000GPaと高く、機械的にも強い一方で、しなやかで壊れにくい性質もある。CNTを成長させる温度を2段階で調整 放熱材料としてCNTを利用する場合は、垂直方向にCNTをびっしり詰めて配置することが望ましい。これについては、研究グループの一人である川端章夫氏は、STEP(Slope Control of Temperature Prole)成長と呼ぶ高密度のCNTを形成する技術を開発した。 CNT形成技術には、高温の熱CVD法を利用する。LSIプロセスとの互換性をできるだけ保つため、結晶成長温度を450〜800℃に設定する。温度はSi基板の下からのランプヒーターで加熱し制御する。CVD成長そのものは、アセチレン(C2H2)にアルゴン(Ar)ガスを追加したガスを使って成長させる。CNTの成長にはSi基板上では下地金属が必要で、さらにその上に結晶成長の種になる触媒金属が必要になる。 下地金属は触媒金属の活性化を助けるために必要となる。CNT成長では、触媒と下地金属の組み合わせとして、Fe/AlあるいはCo/Ti(Feは鉄、Alはアルミニウム、Coはコバルト、Tiはチタン)を利用する。従来、800℃の高温では、触媒がいくつか固まって凝縮するという問題があった。SPring-8の放射光分光分析装置で観察すると、触媒が酸化すると活性を失うことが分かった。例えばAlを下地金属として使いAlが酸化すると、Feが活性化しなくなる。 そこで、川端氏が開発したSTEP成長では、まず50℃に加熱し、徐々に800℃まで昇温させていく。450℃では触媒還元が始まり、原料ガスC2H2+Arを導入すると成長が始まる。これをDVHG (Dense vertical horizontal graphene)と呼ぶ。温度を上げてい▶ CNTの熱伝導率はハンダやInのそれより高く熱抵抗が低いことを実証▶ LSIパッケージの蓋にグラファイト、TSVやTIMなどにはCNTを利用する 方向が定まった▶ STEP成長を考案し、従来成長法の10倍という高密度CNTを得た▶ 長さ100μmを超す長尺のCNTも得られた▶ LSIパッケージでの評価では従来の材料に比べ12%低い熱抵抗が得られた図1 LSIパッケージの放熱にCNTとグラフェンを利用

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