横山FIRST活動サマリ
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低電圧動作CMOSバックエンドデバイスナノカーボン材料の開発と応用36CNT/グラフェンの排熱応用CNT/graphene application to thermal managementくと、CNTは長く伸びていく。このCVD反応は、雪のように積もるのではなく、下地から成長して伸びていくボトム成長だ。ただし450℃では柱状にはならずにグラフェンのようになる。島状に凝集するとCNTになる。 CVD反応で製作するCNTには、供給するガス量が深く関係している。温度を上げていくと反応は進むが、最初は供給ガス量に依存せず、CNTは同じ長さで成長する。つまり反応律速である。しかし、ある温度と時間から、供給量を増やしていくとCNTはどんどん伸びていく。つまり供給律速が起きているのだ。ただし、成長速度が高すぎるとCNTの密度は下がり、スカスカになってしまう。CNTの密度を上げるための最適な供給速度を突き止めることにより、従来のスーパーグロース法で作製したCNTの10倍という高密度なCNTが得られた(図2)。熱伝導率260 W/mKを達成 熱伝導率を測定すると、ハンダを用いたときの約5倍に相当する260W/mKが得られた。CNTの理論的な熱伝導率は3000W/mK。ただし、理想的なCNTの成長温度は2000〜3000℃。しかしこの研究グループではSi半導体プロセスとの互換性を考えているため、800℃に抑えている。 理想的CNTの熱伝導率よりもまだ低いのは、CNTの密度がまだ不十分だからである。これまで開発してきたCNTを観察すると、7層くらいになっている。密度は、触媒金属の種の粒径で決まることが多い。また、品質を評価するのにラマン分析が使われる。グラファイトに起因するGバンドと、欠陥のDバンドとの比率が1程度だった。 実装状態でも評価している。ここでは、グラフェンシートの垂直結合をTIMとTSVとの接合部分、TIMと蓋との接合部分に使うバーティカルグラフェンコンタクトを提案している。熱はグラフェンの面に沿って伝わりやすいので、できるだけ層をそろえるような構造にすることが重要になる。これをいかに低温で蓋、TSV、TIMを通って、カーボン同士をつないでいくかが重要になる。実装での評価は、熱抵抗を使う。式は、熱抵抗Rth=(Tj-Tc)/電力、で表される。 CNTは縦に密度を高くそろえることが難しい。現時点ではCNTの密度がまだ低いため、隙間にメタルを入れる方法を使う。Cuの微粒子を入れてみると、TEM観察でCu微粒子が見える。それをさらに電子線回折のパターンを調べると、Cuが酸化していることが分かった。酸化していれば熱伝導率は悪くなる。 TSVでは穴の中にCNTを成長させるが、穴から飛び出したCNTを平らにするため、CMP(化学的機械研磨)を使う。しかしその際、CNTが抜けてしまうことがある。 グラファイトの蓋に関しては、図3のように面方向に水平に熱を逃がす場合には、1426W/mKと従来のCuの3倍も高い熱伝導率が得られた。しかし、層に垂直方向だと7.7W/mKと低い。このため、できるだけ熱の方向にグラフェンの面と同じ方向に並べるような構造を利用する。 ただし、現実的にはTIMボイドがあると熱抵抗は上がる。トップデータとしては、従来のInのTIM材料と比べて、熱抵抗は12%低減した。ボイドが低減できればもっと良くなり、目標の20%低減が実現できる。理論的にはCNTは熱抵抗が低いと言われていたが、実験でも確かめられた。 今後、プロジェクト終了の3月までにはクリアしたいと二瓶氏は考えている。 「信頼性、量産性を検討して、スーパーコンピュータへ実装していきたい。スパコンの京には10万個のチップが使われているため、今後は量産性を高めていきたい」図2 従来の成長法の10倍の密度を達成図3 LSIパッケージに実装した評価も行う

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