横山FIRST活動サマリ
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37FIRSTプログラム成果報告 ◎ ナノカーボン材料の開発と応用二瓶氏のグループでの役割は、優れたデバイス特性を得るためのCNT成長技術だ。 川端氏が考え付いたSTEP成長は、CNTを高密度化できる技術。ここに至るまでに紆余曲折を経た。CNTの触媒を活性化させ、ガス供給量とのバランスを見つけ出すのに苦労した。前のプロジェクトではSiプロセスに合わせるため、450℃での低温成長を実験していた。このとき、低温だと品質が劣ってしまうものの密度は向上するという知見を得た。論文で発表したのは1.4g/cm3という密度で、グラファイトの6〜7割に当たる数字だ。 川端氏は、2001年から富士通研究所でCNTの研究・開発を手掛けてきた。このプロジェクトの前はSeleteプロジェクトに参加した。ここで低温プロセスを開発してきて、その技術が役立っている。だからSTEP成長を生み出せた。今の問題は、デバイス化プロセスの完成度がまだ足りないことだ。「3月までに完成度をさらに上げたい。ようやくデバイスレベルに来たから、もうひと踏ん張りしたい」と意気込みを語る。 GNCに参加して社外の研究者と一緒に研究したことで、シナジー効果が生まれたと感じている。「自分の中でこういうステップで開発していけばいいと思っていても、全く気が付かなかった意見が出て来る。異なる意見を聞けるのが楽しい」と笑う。公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の博士研究員である高嶋明人氏は、2012年4月から2年間、SPring-8でCNTを密に生やすメカニズムの解明に挑んだ。「普段携わることのない光電子顕微鏡(PEEM)などの放射光施設特有のユニークな研究手法を使ってみたいと、憧れていました。計算化学が専門だったので、今回、測定すべてにかかわることができました」。 高嶋氏は、SPring-8で実験装置の組み上げにも参加した。任期中はSPring-8で実験し、GNCで議論して、結果を持ち帰ってまた実験、というサイクルを繰り返した。この委託研究を通し、自身の成長を実感できたと語る。 「大学院を出たばかりの研究者にとって、SPring-8を使って仕事ができたのは、本当に大きかった。具体的に何に使えるのかが分かったので、今後の自分の研究の幅を広げられると思います。JASRIの研究者が世界一の放射光施設という看板を背負って、切磋琢磨して細かく突きつめている研究姿勢も学びました。企業の開発者は着実なプロダクツを考え、研究者は一歩一歩積み重ねてイノベーションに取り組む。その間に入って仕事ができたことは、とても大きかったですね」 GNCの任期を終えた後は、関東の大学に赴任する予定。 「FIRSTで得られた私の知見が、どれくらいアカデミックの世界や学生たちに還元できるか、楽しみにしています」川端章夫(かわばた・あきお)産業技術総合研究所連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター特定集中研究専門員 高嶋明人(たかしま・あきと)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門応用分光物性グループSTEP成長を生み出し違う意見を聞ける環境が素晴らしい世界一の放射光を使った研究手法で今後の研究の幅も広がる若手研究者の声委託研究者の声

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