横山FIRST活動サマリ
39/68

新谷俊通(しんたに・としみち)産業総合技術研究所 連携研究体 グリーン・ナノエレクトロニクスセンター 特定集中研究専門員1990年慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。1992年慶應義塾大学理工学部物質科学専攻修士課程修了、日立製作所中央研究所入所。光記録技術として近接場光を用いた相変化記録、相変化光ディスク、相変化材料を用いた超解像光ディスクの研究開発に従事。2009年から相変化デバイスの材料研究開発に従事。2003年および2005年に相変化シンポジウム(PCOS)のBest Paper Award受賞。39FIRSTプログラム成果報告 ◎ バックエンドデバイスの成膜技術を開発してきた。しかしその結果、成膜する下の層の表面が荒れていると膜がきれいに積み重なっていかないことが分かった。結晶薄膜は下地の影響を強く受けるからだ。基板となる二酸化ケイ素(SiO2)の上であれば表面に凹凸が形成されていき、窒化チタン(TiN)層がなければ、表面上にGST(GeSbTe)の合金層が形成されてしまい、きれいな超格子構造が得られない。 そこで、TiNを下地に敷くとSb2Te3の薄膜成長がうまくいくことが分かった。結晶化がうまく進むメカニズムだ。図1のような構造では、タングステン(W)プラグが二酸化ケイ素(SiO2)に囲まれているような形状である。この場合、W上ではきれいに積めるが、SiO2上では不安定になる。 GeTe/ Sb2Te3の超格子構造が実現できたことで、相変化メモリの消費電力を10分の1にできた。ここまでが1〜2年目の研究成果である。Geの代わりにSnでさらなる低消費電力化を狙う カルコゲナイドの超格子の研究の3年目には、消費電力をさらに下げるために、GeTe/Sb2Te3の代わりにSnTe/ Sb2Te3(Snはスズ)の超格子を開発した。GeTe/Sb2Te3で消費電力を従来のGeSbTe合金の10分の1に下げたが、SnTe/Sb2Te3ではさらに15分の1に減った。そこで、SnTe層におけるSnとTeの比率のうち、Snの含有率を下げていくと消費電力はどれだけ下がるのか、組成を調べてみた。すると、Snの成分を少なくすればするほど消費電力は下がることが分かった(図2)。 Snが10%、Teが90%までSnの量を減らすと、消費電力削減の目標が100分の1だったところ、1500分の1にまで減少できた。消費電力が低減した主な理由は、ダイナミック抵抗が急激に上がることであることが分かった。ダイナミック抵抗とは、パルス電圧をかけたときの抵抗のことだ。すなわちこの材料では、リセット時にデバイスに流れる電流量が大幅に低減される。記録時のデバイス内温度をこのデータから見積もると、室温から数℃程度しか上▶ 電力が従来比で1/10となるGeTe/Sb2Te3の超格子膜を開発▶ GeをSnに置き換えるとさら1/15に減り、従来比1/1500の消費電力を達成▶ SnTeの比率の変更、Geを混ぜるなどの検討も実施し、最適条件を求めた▶ 印加するパルス幅を短縮すると必要な電流も少なくて済んだ▶ 超格子薄膜の層数を減らすとさらに低電力化でき、 従来材料の1/10000の消費電力を達成図1 Wピラー上には超格子はうまく成長するがSiO2上では崩れてしまう図3 低電力化の要因分析図2 SnとTeの割合で、Snの比率を小さくすると 消費電力が下がっていく

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です