横山FIRST活動サマリ
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低電圧動作CMOSバックエンドデバイスナノカーボン材料の開発と応用40電力1/100に向けた材料開発Development of Materials for 1/100 Power Reduction昇していないことが分かる。すなわち、従来の相変化メモリにおける熱記録のメカニズムでは説明できない結果が得られた。さらにこの結果は、実際に製品化したメモリの中で複数のセルを同時に記録する、すなわちパラレル記録が可能となることを意味し、高速記録が実現される可能を示唆する。 低電力動作は実証されたが、製品に搭載するには信頼性が重要であるため、信頼性を調べた。信頼性には多くの評価指標があり、プロジェクトの中ですべてを調べて改善することは困難であるが、メーカーのエンジニアを交えて議論を重ね、現時点で最も重要なパラメータは高温特性であると結論付けた。そこで、メモリの保持特性、すなわちリテンション特性が温度を上げていくとどこまで崩れずに保持できるかを調べた。試料は、GeTe/Sb2Te3とSnTe/Sb2Te3の二つの超格子をつくり、従来のGeSbTe合金と比較した。 その結果、GeTe/Sb2Te3超格子だと165℃まで保持するが、SnTe/Sb2Te3超格子は127℃までしか保持できなかった。従来のGeSbTe合金でも150℃までは保持した。SnとTeとの比率を変えてもこのリテンション特性にはさほど差はなかった。そこでSnTe/Sb2Te3特性を伸ばすため、SnTeにGeかアルミニウム(Al)を混ぜることを検討した。SnTe/Sb2Te3超格子にGeかAlを入れると保持温度は上がり、消費電力も低かったのだ。 なぜ低消費電力になるのかを確かめた。その結果、リセット時のパルス幅を変えると、従来の合金材料では、消費電力がパルス幅にほとんど依存しないが、GeTe/Sb2Te3超格子だとパルス幅を小さくすると電流値が低くなることも分かった。超格子の相転移は熱とは関係のない原理がここでも実証された。またGeTe/Sb2Te3超格子だけではなく、SnTe/Sb2Te3超格子でも同様な結果が得られた。すなわち低い電流でも動作できる。熱駆動ではなく、電界駆動であり、電流値は相変化に寄与しないことから、低消費電力化が可能になる。超格子膜の層数を減らす さらに消費電力を減らすために、超格子膜の層数を減らしてみた。電界が変わるため、層数を減らせば低い電圧でも動作できるのではないかと考えたからである。当初は超格子構造を確保するため9層積んでいたが、それを6層、3層、そして1層と変えてみた。電圧が一定であれば電界が強まるため、電界を一定にするために電圧を減らすことができるはずだからだ。 その結果、9層で1Vの電圧は、6層で0.6V、3層0.45V、1層で0.4Vへと下がった。すなわち、層数を減らすにつれ、動作電圧も下げることができた。高抵抗時の電力であるリセット電力は、6層に減らすと2桁下がり、1層まで減らせば3桁弱まで下がることが分かった。その結果、従来材料の1万分の1の消費電力を達成することに成功した。 原理的には、Sb2Te3とGeTeの界面においてGeが動くことで状態「1」と「0」を実現しているため、界面さえよくできていれば1層でも動作可能である。 電圧をかけると電流は桁違いに低下することがある。このときの電圧をVthと呼ぶ。電圧をかけたときと、読み取るときの抵抗値は異なる。Vthは図5の赤い線のようになり、9層の場合、リセット電圧の方がVthよりも大きいため、電流はあまり低下せず流れ続ける。 しかし、6層以下になると、リセット電圧はVthよりも低くなってしまう。つまりリセット電圧は電流値がずっと小さいときの電圧になる。すなわち高抵抗時の電圧は小さな電流で動作できることを示している。図4 リセットパルス幅を小さくしても必要な電流は小さくて済み、電力は下がる図5 超格子の層数を減らすと電力はさらに下がる

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