横山FIRST活動サマリ
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41FIRSTプログラム成果報告 ◎ バックエンドデバイス 新谷俊通氏の研究グループの中核を担う添谷進研究員は、1990年に日立製作所に入社し、研究者として24年間、活動してきた。ハードディスクの研究に取り組み、磁気ヘッドと磁気媒体を手掛けた後、産業技術総合研究所に出向し、カルコゲナイド超格子相変化メモリを研究している。 2012年2月にSnTe/Sb2Te3の超格子構造の相変化メモリでスイッチングできることを発見した。消費電力を従来の10分の1〜15分の1にすることに成功した。FIRSTプログラムにおいて、2011年度の目標を達成できた。その後、出向元の日立製作所からの出向期間が2年間伸び、目標が100分の1になった。 その目標に向かって、SnTe/Sb2Te3超格子材料の構造の解明に取り組んだ。X線回折では、SnTe/Sb2Te3超格子材料では、超格子構造が少なく、合金相の方がむしろ強く出ているという結論になった。SnSbTe (111)ピークは出ないはずにもかかわらず、実験ではピークが出ている。その原因は材料の中に空孔が入っているからだと考えた。ただし、空孔がどこにどのように入っているのかを調べるために、空孔がTe層にある場合やSnSb層の中にある場合など六つのケースを想定して、X線回折相対強度を計算した。その結果、SnSb層の中に空孔層があると考える場合が妥当であるとした(図)。 SnSbTe結晶の(111)方位の結晶を下からみると、Te層、SnSb層があり、Te層、空孔層、Te層、SnSb層、Te層という構成をしている。GeTe/Sb2Te3超格子で見られる空孔層の構造と完全に合致している。つまり、GeTe/Sb2Te3超格子では、Te層、Ge層、Te層、空孔層、Te層、Ge層、Te層という構成をしている。Ge層をSnSb層にそのまま置き換えた構造である。この結晶を縦に二つ重ねると、上の格子はGeTeに対応し、下の格子はSb2Te3層に対応すると考え、上の格子の中の空孔層はGeTe層の空孔層として機能し、下の格子の空孔層は、Sb2Te3層の中のTe-Te間の弱い結合として機能していると考えられるとした。 これらのことから、SnSbTe合金相は、自己組織化超格子構造を採っているのではないかと考えた。すなわち空孔を介して自然に超格子構造を採るように動く。この合金相は、膜全面にわたって存在している。動くSn原子の数を下げれば、消費電力はもっと下がるはずだと予想している。そこでSn原子数を減らした(本文参照)。 GNCでの研究環境は理想的だと言う。資金は潤沢であり、各メーカーから優秀な人材が多く集まっていて、競争心が湧き刺激を受ける。研究しなければならない量は非常に多いが、楽しいので耐えられる。研究のための研究ではなく、実用化を常に意識している。添谷進(そえや・すすむ)産業技術総合研究所 連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター 特定集中研究専門員超格子材料の構造の解明に取り組み相変化メモリの低電力化を追求中核研究者の声図 SnSbの中に空孔層があると考えられる

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