横山FIRST活動サマリ
46/68

  名古屋大学  東京工業大学46 III-V族化合物半導体は、低電圧で大きなドレイン電流が得られることから、高性能回路の低消費電力化に大きく期待できる。高い電子移動度を最大限に引き出すためには半導体と絶縁膜の界面欠陥密度を低くする必要がある。そのためには、トランジスタの試作プロセスの過程で劣化が生じないことと、微細化に伴う絶縁膜の薄膜化が可能であることが要求される。 そこで、III-V族半導体と反応し、高い絶縁性を有する新たな絶縁膜材料として、酸化ランタン膜について、低欠陥の界面が得られる条件を探索した。III-V族半導体にはInGaAsを用いた。 酸化ランタン膜はInGaAsチャネルと界面で反応し、LaInGaOの界面層を形成する。過剰な反応は界面層の組成を変化させ、界面特性の劣化に加えて容量値の低下を引き起こす課題がある。界面反応量は界面に供給される酸素量で律速されるため、酸素透過能の低い窒化チタンなどの金属電極材料を選択することで、最適な界面層の組成と膜厚を形成することができる。世界最小レベルとなる10の11乗台半ばの界面準位密度を達成でき、ソース・ドレインの活性化に必要となる600℃を超える熱処理でも界面準位密度を維持することが分かった(図a)。また薄膜化による特性劣化が無く、容量等価酸化膜の膜厚で0.72nmを達成した(図b)。 以上の成果は酸化ランタン膜を電子線蒸着法で形成した結果であるが、産業上必要となる原子層堆積法(ALD)でも酸化ランタン膜の形成を行い、同等の結果を得ることに成功した。 絶縁膜とIII-V族化合物基板の高い界面準位密度が大きな課題となっている中、酸化ランタン膜をゲート絶縁膜として用いて、世界最小レベルとなる10の11乗台の界面準位密度を実験的に示した。特性劣化が無く薄膜化が可能である点は意義が大きい。実現に当たって、酸化ランタン膜とInGaAs基板の界面反応をゲート電極の金属材料で制御する点に強い独自性がある。本委託研究で得られた成果は産業界に有効にフィードバックできると確信している。Ge1-XSnxを用いた局所ひずみ印加構造の形成と評価 Ge(001)面基板の表面に形成したSiO2薄膜に、25〜60nm幅の極微細線状のGe構造を形成した。さらに表面清浄化後、Ge基板が露出した領域にSn組成6.5%のGe1-XSnX層を形成した。マイクロ回折による逆格子空間マッピングから、Ge基板やGe細線を挟むGe1-XSnX層からの回折ピークとの間に、局所的にひずみが印加されたGe細線構造からの回折ピークを観測できた。その結果、細線幅の狭い構造ほど、移動度向上を期待できる、より大きなひずみが印加されること、最も細線幅の細い試料(L=25nm)においては、1%以上の大きな面内一軸圧縮ひずみを加えられることを実証した。Ge1-XSnxエピタキシャル層の結晶成長 Ge(110)基板上に低温成長したGeエピタキシャル層中には多数の積層欠陥および双晶が導入され、その結晶性は極めて乏しい(図a)。一方、Sn組成4.3%のGe1-XSnX層成長においては、非常に高品質なエピタキシャル層を成長できることを見いだした(図b)。 さまざまな成長条件(Sn組成、膜厚、結晶成長温度など)におけるGe1-XSnX層の結晶成長を試みた結果、Ge(110)面やGe(111)面上において、1%程度の微量のSn導入によって欠陥形成を効果的に抑制できることを実証できた。エピタキシャルNiジャーマナイド/Ge (110)電極の形成 Ge(110)基板上において、Niモノジャーマナイド(NiGe)層が基板の結晶面方位に整合して成長するエピタキシャルNiGe薄膜を形成可能であることを実証した。エピタキシャル金属/Ge(110)接合の形成によって、均一かつ平坦な界面構造を実現できる。また、従来用いられる多結晶NiGe薄膜と比較しても、熱的安定性に優れ、550℃の高温熱処理後においても結晶粒の凝集が生じずに均一な薄膜構造を維持できることを見いだした。このエピタキシャルNiGe/Ge接合においては、従来の多結晶金属/Ge接合界面に生じることが知られているフェルミレベルピニング現象が緩和されることを明らかにした。本技術によってコンタクト抵抗のより低い接合界面を形成できる可能性を実証した。3次元構造Geデバイスに向けたひずみ印加ソース/ドレインおよび電極構造の形成技術希土類系高誘電体薄膜を中心としたIII-V族化合物半導体基板用絶縁膜の探索的研究名古屋大学大学院工学研究科結晶材料工学専攻財満鎭明教授東京工業大学フロンティア研究機構岩井 洋教授(a)(a)(b)(b)委託研究成果大学や研究機関12カ所約40人の研究者と連携し委託研究を実施 Gate voltage(V)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です