横山FIRST活動サマリ
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  東京大学  九州大学48 グラフェンと金属が接触したときのコンタクト抵抗の値は大きい。その低減には、グラフェン側の状態密度を上げる手法が重要となる。これまで、状態密度の小さいグラフェンと金属の結合機構の研究は、グラフェンが単原子層であり、理想的な状態から大きく変化を受けると予想されているため、理論と実験の両面から取り組まれてきた。しかしながら、実際の状態密度測定は未だ行われていなかった。 私たちの研究グループは、結合機構を正確に理解するために、金属が接触したときのグラフェンの状態密度を量子容量測定から抽出し、コンタクト抵抗率と状態密度の相関性を明確にした。金属種の違いによってグラフェンの状態密度変化は大きく異なることから、コンタクト金属の選択に明確な解を与えることができる。 銀(Au)およびニッケル(Ni)が接触したグラフェンの量子容量を測定した(図左)。Auではゲートバイアスによって大きく変調し、Dirac point(DP)近傍を除いて理想的なグラフェンの量子容量と概ね一致した。一方、Niの場合はゲートバイアスによる変調量が非常に限定されており、線形の分散関係が崩れている。このような違いは、グラフェンのπ電子が、Auではs電子と分子間力によって物理的に結合し、Niではd電子と化学的な結合軌道をつくるためと考えられる。 TLMパターンを用いて測定したコンタクト抵抗率と状態密度の関係では、状態密度の増加と共にコンタクト抵抗率が減少している(図右)。また、Auにおいてこれまでに報告されたコンタクト抵抗率よりも低い値(50Ωμm程度)を得た。理想的なAu/グラフェン分子間力距離に近く相互作用も非常に弱いため、バックゲート変調による状態密度増加が大きくコンタクト抵抗率が減少した。  以上、π-d結合の最も強いNiと理想的な分子間力のAuをモデル電極として比較した結果、状態密度と金属/グラフェン間距離でコンタクト抵抗率を整理できることが分かった。トップおよびバックゲートのデバイス構造を考慮した上で、適切な金属の選択が重要となる。05001000150020000.250.30.350.4Contact resistivity (Ωμm)DOS-1 (10-13 eVcm2)Ni w/o resistNi w resistAu w/o resist012345678012345-0.3-0.2-0.100.10.20.3Quantum capacitance / μFcm-2DOS / 1013 eV-1cm-2Fermi energy / eVNi: w/o resistNi: w/ resistAu: w/o resistY2O3/graphene/SiO2グラフェン/金属界面の理解と制御トランジスタ応用を目指した高品質グラフェン薄膜の成長法の開発東京大学大学院マテリアル工学専攻長汐晃輔准教授九州大学先導物質化学研究所吾郷浩樹准教授委託研究成果

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