横山FIRST活動サマリ
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委託研究成果  京都大学  東京大学51 GeSbTe(GST)膜は相変化メモリの材料として有用と考えられており、その化学気相成長法(CVD)による製法の研究が現在盛んに行われている。相変化材料におけるCVDは比較的新しいテーマであり、実験報告も少なく、明らかにされていないプロセスも多い。 ゲルマニウム前駆体としてGeH3(tBu)、アンチモン前駆体として Sb(iPr)3、テルル前駆体としてTe(iPr)2を仮定し、気相反応として考えられる熱分解反応や、キャリアガスH2との反応、反応過程で生じうるHとの反応を量子化学計算によって調べ、前駆体二つから生じうる二量体の安定性を調べた。また、このようにして得られた電子状態を私たちのグループ独自の電子ストレステンソル密度(図1)などを用いて分析した。 基板と結晶の整合性については、W・TiN・Si・SiO2を基板として選んだ際に、基板上にGe2Sb2Te5がどのように成長するのかを計算した(図2)。結果は不整合率、結晶の構造変化、エネルギー変化の観点から議論した。この結果、W基板が良質なGST結晶を得るのに最もふさわしい可能性を示した。 また、気相中での分子同士の反応について調べた結果から、気相中に存在する分子種を推測し、これらの分子がGe2Sb2Te5表面でどのように反応して、その後の結晶成長についてどのような影響を与えるかについて考察した。 これらの基礎データに基づいて、良好な結晶成長について必要な条件についての考察を行った。結果、結晶成長における気相分子の吸着においては、安定分子よりもラジカル分子の方が表面における構造変化が小さく、期待するGST結晶が得られる可能性が大きいことが分かった。 相変化材料評価用デバイスを用いて、基礎電気特性を測定した。パルス幅、パルスの立ち下がり時間を変化させながら、高抵抗状態と低抵抗状態を遷移させることができることを確認した。 また、リセット、セットのパルス電圧、パルス幅、立ち下がり時間などを変化させることで、抵抗値の微調整が可能だという測定結果が得られ、これを利用した多値化の可能性も検討した。 これら研究成果から、相変化メモリは、特にパルスの立ち下り形状と、パルス印加後の抵抗値に大きく依存するという知見を得たので、任意波形発生器(ファンクションジェネレータ)を利用して、より詳細な実験を行った。詳細な測定や解析の結果、相変化メモリの抵抗制御には、温度制御が非常に重要であることが分かった。特に、パルス長が長くなり、抵抗変化のために要する消費エネルギーが大きくなってしまうセット(低抵抗化)動作では、結晶化に適した温度を長く維持することが重要である、という知見も得た。そこで、図上に示すようなセットパルスを用いてセット動作にかかる時間の短縮と、エネルギーの削減を提案した。 図下に各デバイス寸法における測定結果を示す。提案セット手法を用いることで、素早くアモルファス相を溶かし、かつ結晶化に適した温度を長く保持することができるため、微細化した場合もセット書き込み性能がスケーリング可能になる。特に、従来セットパルスではデバイススケーリングによって、セット時間、消費エネルギーがともに悪化してしまうのに対して、提案セットパルスでは、これが改善され、書込み時間が一桁短縮、エネルギーが80%削減できることが分かった。Cell size [nm]801001000120140MLC(Prop.)MLC (Conv.)80604020SLC (Prop.)SLC (Conv.)~80% saving energyCell size [nm]Write time [sec]8010010-410-7120140MLC (Prop.)MLC (Conv.)10-6SLC (Prop.)SLC (Conv.)10-5~x10 fast writeWrite energy [nJ]バックエンドデバイス向け相変化 CVD 計算相変化メモリの低消費エネルギー動作に向けた回路・システムの研究京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻ナノサイエンス講座量子物性学分野立花明知教授東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻竹内 健准教授(現・中央大学大学院 理工学系研究科 教授)図1 電子ストレステンソル密度の差固有値解析。GST 間の化学結合が金属結合と共有結合の中間的な特徴を示すことを表している図2 各種基板における安定化構造。(a)はW、(b)はTiN、(c)は SiO2(a) 従来セットパルス(b) 提案セットパルスTfTpw1Tpw2V1V2Controllingthe quenching speedMeltingControllingthe melting regionTfTpwV1Controllingthe quenching speedMelting & Controllingthe melting region

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