横山FIRST活動サマリ
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社会からの  期待 産業技術総合研究所連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンターで取り組んだテーマは明確だった、すなわち「大規模集積回路(LSI)の消費電力を10分の1~100分の1にする」ことは、私たち半導体業界も認めた目標であった。これに政府の資金が入り、FIRSTプログラムの一つの課題として研究開発に取り組んだ。 その結果、トランジスタの低消費電力化と、ナノカーボン材料を使った配線抵抗の低減および放熱については、非常によい技術を開発できた。 これらの成果は学術論文レベルとしては、間違いなく世界トップレベルのものである。その成果を生かして、すぐに世界トップレベルの低消費電力のLSIやそれを組み込んだ製品が世に出てくる、という期待があるかもしれない。しかし、そうではない。すぐに半導体メーカーから0.4V以下で動作するトランジスタを組み込んだLSIが出てくるわけではないのだ。 そのわけは、基礎研究開発の目標は決めていたが、その先をどうするのか、という出口が明確でなかったからだ。半導体メーカーの顧客、情報通信機器メーカーなどの立場から見ると、どういう製品に組み込むことができるのかという橋渡しができていなかった。 例えば、低消費電力動作のLSIが登場すれば、太陽光発電だけで動作するシステムが構築できるだろう。簡単な例では、半永久動作する腕時計が実証できる。近未来では、ウエアラブルコンピュータの音声自動応答めがね型ディスプレイがバッテリー不要で軽量となることから、普及するかもしれない。 単に情報通信機器への応用だけでなく、環境問題にも関わることから、持続的社会の構築のために貢献できることは間違いない。出口戦略も研究する新組織を構想中 電子情報技術産業協会では、半導体部会が中心になって、産業競争力懇談会(COCN)のプロジェクトとして「国際競争力強化を目指す次世代半導体戦略」を政府に対して提案すべく取りまとめ中だ。その中で、半導体産業は社会的問題の解決、サービスの改善、人と環境との調和、の三つの観点から重要であることを強調している。従来の「産業のコメ」から社会全体に不可欠な「社会のコメ」となることを目指している。 具体的には、出口戦略も考えた半導体研究開発の新会社をつくる構想だ。半導体メーカー、システムメーカー、材料・装置メーカーだけでなく、大学や研究機関も一緒になって、アプリケーションへの橋渡しをする。まだ半導体業界を中心にした構想であるが、2015年には具体化したい。半導体は役に立つ「産業のコメ」から「社会のコメ」へ1973年早稲田大学理工学部卒業、同年東芝入社。2006年東芝セミコンダクター社副社長兼メモリ事業部長、東芝執行役常務。2007年東芝執行役上席常務(セミコンダクター社佐長)、2010年同 執行役専務(電子デバイス事業グループ分担)、2012年同取締役、代表執行役副社長(電子デバイス事業グループ分担)、2013年同常任顧問。2012年電子情報技術産業協会(JEITA)半導体部会部会長。齋藤昇三氏電子情報技術産業協会半導体部会 部会長東芝 常任顧問Shozo Saito56

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