横山FIRST活動サマリ
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09横山直樹(よこやま・なおき) 1973年大阪大学大学院修士課程修了、同年富士通研究所に入社。富士通研究所電子デバイス研究部門機能デバイス研究部長、同社フェロー兼ナノテクノロジー研究センター長を歴任。2010年産業技術総合研究所連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター連携研究体長兼富士通研究所フェロー。1984年工学博士(大阪大学)。中村道治(なかむら・みちはる)1967年東京大学大学院理学系研究科(物理) 修士課程修了、同年日立製作所中央研究所に入所。III-V族化合物半導体デバイスの研究開発に従事。1972年から1年間米カリフォルニア工科大学ヤリフ研究室に客員研究員として滞在。日立製作所中央研究所所長、研究開発本部長、執行役副社長、取締役などを歴任。2011年科学技術振興機構理事長。中鉢良治(ちゅうばち・りょうじ)1977年東北大学大学院工学研究科博士課程修了、工学博士。同年ソニー入社。同社執行役員、執行役員常務、業務執行役員 上席常務、執行役副社長COO、エレクトロニクスCEO、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEO、取締役 代表執行役 副会長を歴任。2013年産業技術総合研究所理事長。非常に優秀な人たちが多くいたことです。そしてつくばにしかない設備があります。こういう成果が得られた今、つくばで研究をしてよかったと感じています。中鉢:やはり、多様な人が集まって、設備が充実しているのが、産総研です。私は、TIA-nanoは共に創造するという意味で「共創の場」をつくったと思っています。もちろんイノベーションも起こしています。GNCがきちんと成果を出せたことは、共創の場の証明だったのではないでしょうか。今まで起きなかった化学反応がおき、産総研の人たちにとっても刺激になったのです。LSIとしての動作検証が必要中村:プロジェクトの評価としては、実質4年ほどで世界トップレベルの技術に育ったことから、非常に立ち上がりがよかったと言えます。中鉢:中間評価時点では、決して満点ではありませんでしたが、後半に入ってから概ね初期の目的を達成できるようになり、最終的には成功裏に終えられたのではないかと思っています。中村:今後の実用化という意味では、実際に出来上がったのがトランジスタ1個やメモリの1セルだという印象があります。実用化へのステップとしては、さらに先に進めて、メモリならM〜Gビットクラスの集積度を達成するための技術を、サイエンスに立ち返ってつめる必要があります。 低電圧トランジスタも、複雑な回路を組み、その回路がきちんと動き、設計ツールも完備する必要があります。産業界の視点では、実際にエレクトロニクスのシステムとして動いて評価できるとうれしいですね。基礎研究の課題はそこにあると思います。産総研に残ったノウハウを活用する中鉢:学術的な意味合いだけでなく、産業を興してほしいと思います。TIA-nanoもFIRSTプログラムも、その成果から数兆円規模のビジネスを想起するにはまだ不足しているものがあると思います。 横山課題も、三つのテーマの必要性や技術開発の成果は分かっているのですが、どのように実現していくかというプロセスが課題の一つだと思います。 FIRSTプログラムの30課題のうち5課題が産総研の施設を利用して活動し、かなり大きな資産やノウハウが産総研に残りました。これらの資産やノウハウをどう束ねて社会に提案できるかは、産総研側の課題でもあります。産総研にとっては、研究成果を上手に組み合わせて社会に提案していくよい機会を得たと感じています。横山:今回のプロジェクトで、 三つのコア技術は開発できました。それを具体的なシステムにするのは、産業界の協力が必要です。実際、今回のプロジェクトでは、低電圧動作CMOS関連では、東芝がさまざまな応用を考えています。ナノカーボン材料関連では、排熱応用の技術を富士通と一緒に発展させる計画です。相変化新材料も、コア技術に日立製作所が興味を持っているほか、相変化メモリとして注目している企業が複数あります。 企業が今回のプロジェクトで生まれたコア技術の応用研究をするとしても、産総研の装置を使いたいと考えているはずです。その仕組みをどうするか、実用化への課題となるのではないでしょうか。中鉢:産総研では、共創の場、TIA-nanoとしてのリソースも産学官に広く使ってもらえるように制度整備を進めています。その第一歩として、SCRの稼働時間を24時間に拡大しました。使用条件を整備して、企業がオープンに使えるように、より使いやすくします。 できれば、研究開発の試作だけでなくSCRのラインからサンプル出荷ができるようにしたいと思います。研究開発成果を企業に持ち帰って企業のラインでつくっていると時間もコストもかかります。出口までの距離を短くすることに対しては、産業界からの期待も大きいです。中村:科学技術振興機構(JST)では、センターオブイノベーション(COI)プログラムを実施しています。産学の連携によって革新的なイノベーションを創出することを狙っています。12カ所の拠点をつくりました。 健康、エネルギー、インフラなどさまざまなことに取り組みますが、それぞれに特化したエレクトロニクス素子が必要です。しかし、各拠点にクリーンルームをつくるお金はありません。そうしたとき、必要だったら産総研に行ってください、と言っています。さまざまなプログラムが連携して研究開発力が高まるように、サポートを強化していきたいと思います。横山:半導体業界は元気がないといってもNANDフラッシュの東芝やイメージセンサーのソニーは元気ですし、シャープはIGZOで盛り返そうとしています。 やっぱり誰にも負けない技術やデバイスを持つことは重要だと思っています。これまでの歴史を見ても分かるように、想像もできなかった新しい材料が出てくる可能性があります。それをしっかり研究することで、新しいイノベーションができるのでしょう。目先のことにこだわっていると事業は続かないとおっしゃった経営者がいましたが、純粋に研究をやっていくことも新しいイノベーションへの一つの近道かもしれません。

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